ダッシュエックス文庫編集部と、イラストの森沢晴行さんの許可を頂きましたので、英雄教室の企画書、大公開いたしますー。
新木伸「英雄教室」企画書 2014-05-12.pdf
クリックすると、通常、PDFファイルが閲覧できます。リンク上で右クリックで「ファイルに保存」したあとで見ることもできます。
これはどういう種類の企画書なのか、ご説明します。
じつはウルトラジャンプ2015年02月号のインタビュー記事に詳しく書いてあったりするのですが……。
ダッシュエックス文庫のリニューアル創刊にあたって、コミカライズのコンペがありまして……。
自分のシリーズをコミカライズしてもらいたい人は、企画書を書いてくれば、コンペにかけるよ。保証はないけど、チャンスはあげるよ、みたいな雰囲気でした。
フリーランスの傭兵家業みたいなラノベ作家にとっては、大変、ありがたい話です。
そこで気合いを入れて作ったのが、この企画書です。
そういう経緯ですので、かなりの大作で力作となっています。中に4コマ漫画があったりと……(笑)。
通常のラノベのシリーズ開始時には、もうすこし簡単なものを提出しています。ボリューム的には半分以下。
なお、この企画書は、あくまで企画段階のものですので、実際に刊行された作品とは、若干異なる部分もあります。
たとえば赤ヒロイン――アーネストの持つ剣の名前が「ベリアル」になっていたり。(実作品では「アスモデウス」)
主人公がアーネストのことを異性として意識していたりとか。(実作品では男女の区別さえついていない)
本を購入されて読まれた方は、どこが違うか探してみられると面白いかも?
通常の――ライトノベルの新シリーズを始めるときに書く企画書も、新木の場合には、だいたいこんなような内容となります。新木は「キャラクター小説家」なので、企画書の大半は「キャラの魅力」で埋め尽くされます。
しかし、この企画書……。よーくみてみますと、ストーリーのことは、本当に書かれていないですねー。
一般的にいうと、企画書のメインコンテンツは「あらすじ」となるものなんですが。
あともう一点。ラノベの企画書として出すときには、大きく違うところがあります。
これはコミカライズの企画書なので、そのときには、もうラノベのシリーズとしては企画通過していました。イラストレーターさんも、森沢さんで決定していました。
なのでこうしてキャラデザも起こして利用させてもらえています。
通常のラノベの企画書のときには、イラストレーターさんは当然決まっていませんので、このようにキャラクターの画像を利用することはできません。
2015年01月28日
英雄教室の企画書公開
posted by 新木伸 at 17:28| Comment(0)
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アニメの絵の権利は誰にある?
先日、とある相談をtwitterで受けました。
GJ部のアニメのアイキャッチの模写した絵を、地元の展覧会に出したいのだが、よいだろうか? ……という相談です。
さて困りました。
新木はたしかにGJ部の原作者ではあるのだが、アニメに関しては、あくまで「原作」という権利ぐらいしか持っていないのです。
たとえばこの絵の場合には、そのアイキャッチの絵の権利は誰にあるか? ということになります。
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GJ部のアニメのアイキャッチの模写した絵を、地元の展覧会に出したいのだが、よいだろうか? ……という相談です。
さて困りました。
新木はたしかにGJ部の原作者ではあるのだが、アニメに関しては、あくまで「原作」という権利ぐらいしか持っていないのです。
たとえばこの絵の場合には、そのアイキャッチの絵の権利は誰にあるか? ということになります。
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posted by 新木伸 at 13:41| Comment(3)
| コンテンツ
2015年01月27日
英雄教室の最初の企画書(モドキ)
久々に更新します。コンテンツらしきものをなにか書かないと〜。
重版出来の「英雄教室」ですが。
当初、編集部に持ち込んだ企画書は、こんなもんでした。
新木が、夜、ぐっすりと寝ているときに、急にこの「元勇者」が降りてきまして。
僕に向かって独り言っぽく語りはじめるので、あわてて枕元のポメラを開いて、だかだかだかーっと、彼が言うままを書き取りました。
書き終えたら、そのままぐっすりと安眠して、そんなもの書いたことさえ忘れていましたが、数日後にポメラを開いて発見されました。
ちょうど企画書を出さないとならない時期だったので、およそ一ヶ月後、他の企画書と一緒に、ペラ紙一枚に打ち出したものを、企画の数合わせぐらいの軽い気持ちで、提出したところ……。
「これがいちばんテイクがわかりやすいので、これにしましょう」みたいに決まってしまいました。
その当時の「ペラ紙一枚」の企画書モドキを、当時の原文ママで、ここに示します。
ちなみに新木は、本当はもっときちんと体裁の整った企画書を作ります。
なお「英雄教室」には、コミカライズ・コンペ時の「きちんとした企画書」もありまして。
こちらも公開可能であるか、ちょっと編集部に問い合わせてみます。
↓↓↓ここから
最初の企画提出当時の企画書。
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重版出来の「英雄教室」ですが。
当初、編集部に持ち込んだ企画書は、こんなもんでした。
新木が、夜、ぐっすりと寝ているときに、急にこの「元勇者」が降りてきまして。
僕に向かって独り言っぽく語りはじめるので、あわてて枕元のポメラを開いて、だかだかだかーっと、彼が言うままを書き取りました。
書き終えたら、そのままぐっすりと安眠して、そんなもの書いたことさえ忘れていましたが、数日後にポメラを開いて発見されました。
ちょうど企画書を出さないとならない時期だったので、およそ一ヶ月後、他の企画書と一緒に、ペラ紙一枚に打ち出したものを、企画の数合わせぐらいの軽い気持ちで、提出したところ……。
「これがいちばんテイクがわかりやすいので、これにしましょう」みたいに決まってしまいました。
その当時の「ペラ紙一枚」の企画書モドキを、当時の原文ママで、ここに示します。
ちなみに新木は、本当はもっときちんと体裁の整った企画書を作ります。
なお「英雄教室」には、コミカライズ・コンペ時の「きちんとした企画書」もありまして。
こちらも公開可能であるか、ちょっと編集部に問い合わせてみます。
↓↓↓ここから
最初の企画提出当時の企画書。
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posted by 新木伸 at 15:49| Comment(0)
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英雄教室1巻。重版出来
英雄教室。発売後3日にして、大型重版決定いたしました!
いやー。めでたい。
いえもちろん重版自体は、めでたいに決まっていますが。
この時期にかかったことが、ものすご〜く、めでたい。
ラノベ界はこのところ物凄い冷え込みでして……。発売後すぐに重版の決まる「即重」という現象が、業界全体で1年間に3〜4件、なんてことになってきています。2014年度は実際にそうでした。
もちろん売れている本は売れています。ずっと売れつづけているシリーズの最新刊だとか。
あるいは新シリーズでも、「ボーカロイド系」とか「艦これ系」とか。「小説家になろう」からの引き上げ作品とか。あとは何千万部も売ってる超売れっ子作家さんの新シリーズとか。
そういうのではなくて、いわゆる、普通にはじめた新シリーズの場合には、重版かかること自体が奇跡みたいなもの、ましてや即重なんて……。
という認識になってきています。
そんな中での重版です。即重です。めでたい。めでたすぎる。
いやー。めでたい。
いえもちろん重版自体は、めでたいに決まっていますが。
この時期にかかったことが、ものすご〜く、めでたい。
ラノベ界はこのところ物凄い冷え込みでして……。発売後すぐに重版の決まる「即重」という現象が、業界全体で1年間に3〜4件、なんてことになってきています。2014年度は実際にそうでした。
もちろん売れている本は売れています。ずっと売れつづけているシリーズの最新刊だとか。
あるいは新シリーズでも、「ボーカロイド系」とか「艦これ系」とか。「小説家になろう」からの引き上げ作品とか。あとは何千万部も売ってる超売れっ子作家さんの新シリーズとか。
そういうのではなくて、いわゆる、普通にはじめた新シリーズの場合には、重版かかること自体が奇跡みたいなもの、ましてや即重なんて……。
という認識になってきています。
そんな中での重版です。即重です。めでたい。めでたすぎる。
posted by 新木伸 at 15:33| Comment(0)
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2014年07月22日
「星くず英雄伝2巻 乱丁のお知らせ」
7/3に発売となりました「星くず英雄伝2巻(初版)」に、乱丁がでております。
P231〜234に順番の入れ違いがあります。
P231は飛ばしていただき、P234まで読まれたあとで、P231を読まれますと、正しい順番で繋がります。
なお出版社による正式対応が、以下のように発表されております。
http://www.ponicanbooks.jp/518/
大枠はこんな感じです。
・9月3日に改訂版を新しく刊行。
・希望者には返品交換対応。(9月3日より)
改訂版のほうは、9月3日のぽにきゃんBOOKSの発売日に店頭に並びます。
P231〜234に順番の入れ違いがあります。
P231は飛ばしていただき、P234まで読まれたあとで、P231を読まれますと、正しい順番で繋がります。
なお出版社による正式対応が、以下のように発表されております。
http://www.ponicanbooks.jp/518/
大枠はこんな感じです。
・9月3日に改訂版を新しく刊行。
・希望者には返品交換対応。(9月3日より)
改訂版のほうは、9月3日のぽにきゃんBOOKSの発売日に店頭に並びます。
posted by 新木伸 at 16:30| Comment(13)
| お知らせ
2014年03月26日
GJ部ロスタイムの内容
GJ部ロスタイムの作業も完全に終わり、あとは発売を待つばかり。
中等部8巻完結の折に、「もしロスタイムがあるならどんな内容がいいですか」というアンケートを取りました。
その結果は、こんな感じとなりました。
●「四ノ宮部長は横暴です!」横暴部長《ミスターオレマン》に困らされる、新入部員の京子ちゃんの苦闘の日々。
……(56.0%)
●「いつものファミレス。いつもの指定席」……高校三年の京夜と大学生の真央たちの、いつもの日曜日の話。
……(29.8%)
●「みんな元気にやってるーっ!?」「かえれ!! ナンチャッテ中学生!!」高校生になった霞たちと、中学3年のケンケンたちの、あいもかわらずのやりとり。
……(14.3%)
※注:ただし3/26現在。新木の執筆開始時期の比率は「ミスターオレマン&キョロ子」の比率がもう少し高かったです。
GJ部のロスタイムの内容は、アンケートの結果にだいたい準拠させてあります。
3つある内容の登場話数が、その比率に合わせてあるという意味です。
お楽しみに〜。
中等部8巻完結の折に、「もしロスタイムがあるならどんな内容がいいですか」というアンケートを取りました。
その結果は、こんな感じとなりました。
●「四ノ宮部長は横暴です!」横暴部長《ミスターオレマン》に困らされる、新入部員の京子ちゃんの苦闘の日々。
……(56.0%)
●「いつものファミレス。いつもの指定席」……高校三年の京夜と大学生の真央たちの、いつもの日曜日の話。
……(29.8%)
●「みんな元気にやってるーっ!?」「かえれ!! ナンチャッテ中学生!!」高校生になった霞たちと、中学3年のケンケンたちの、あいもかわらずのやりとり。
……(14.3%)
※注:ただし3/26現在。新木の執筆開始時期の比率は「ミスターオレマン&キョロ子」の比率がもう少し高かったです。
GJ部のロスタイムの内容は、アンケートの結果にだいたい準拠させてあります。
3つある内容の登場話数が、その比率に合わせてあるという意味です。
お楽しみに〜。
posted by 新木伸 at 11:59| Comment(1)
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2014年02月28日
GJ部はいかにして始まったか
いまちょうど、「GJ部シリーズ」の最終巻の最終エピソード付近を書いていたりして、なんとなく感慨深いので……。
GJ部のはじまり秘話です。
担当編集者である具志堅さんへのインタビューが、ネットのこんなところにあったりします。
http://mantan-web.jp/2012/10/12/20121011dog00m200073000c.html
ちなみにインタビュー内にある「まったく別の原稿」というのは、これは完全に別の小説。
超能力が目覚めた六人の少年少女たちが、地球内部から生えてきた生体宇宙船に乗り込み、太陽系に飛び出していきます。そして太陽系先史文明――火星の戦族や金星の長命族たちをまとめあげて、太陽系防衛戦線を張って外敵と戦う、とかいうスペオペでした。
タイトルは「竜王の船」。完成原稿で1巻目は書き上がっていました。
でもGJ部の企画に白羽の矢が立ったので、読まれることさえなくお蔵入り〜。
GJ部のはじまり秘話です。
担当編集者である具志堅さんへのインタビューが、ネットのこんなところにあったりします。
http://mantan-web.jp/2012/10/12/20121011dog00m200073000c.html
ちなみにインタビュー内にある「まったく別の原稿」というのは、これは完全に別の小説。
超能力が目覚めた六人の少年少女たちが、地球内部から生えてきた生体宇宙船に乗り込み、太陽系に飛び出していきます。そして太陽系先史文明――火星の戦族や金星の長命族たちをまとめあげて、太陽系防衛戦線を張って外敵と戦う、とかいうスペオペでした。
タイトルは「竜王の船」。完成原稿で1巻目は書き上がっていました。
でもGJ部の企画に白羽の矢が立ったので、読まれることさえなくお蔵入り〜。
posted by 新木伸 at 15:20| Comment(1)
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2014年02月23日
星くず英雄伝復刊までの運び
いかにして星くず英雄伝は復刊に至ったか。
じつはいちばん大きな理由は、このブログに書いた記事でした。
「アニメ化作家78人の内訳」
http://araki-contents.sblo.jp/article/52254252.html
こちらの記事の最後のほうに、「シリーズ既刊9冊。既刊の再版+新刊続行という条件で、シリーズまるごと引き受けてくださる場合には、ぜひご一報ください」と書いてあったわけですが。
書いた本人もまさか来ないだろうと思っていたら、なんと、来ちゃいました。
そもそもはGJ部がアニメ化したことも大きかったと思います。
えーと。時系列順に説明します。
去年の中頃ぐらい。
アニメの放映も終わり、中等部の完結までの道筋も確定させて、GJ部というシリーズそのものをそこで終えるという重要な決断を下したあたりで、新木は気持ち的に一段落つけられまして……。
時期的には6月とか7月とかですね。日本一周の旅に出ようとかいうあたりですね。
心機一転、新しいことをはじめたり、あるいは中途で投げ出していたことを再開させたりする心境になっていました。
そこでようやく勇気を振り絞りまして、AMWに「星くずの続きの原稿あるんですけど、これ出ます?」と訊いてみました。返答は予想の通りに「出ません」というものでしたので、それでは、ということで、すべての既刊の出版権の引き上げの手続きに入っておりました。
その頃、新木は「アニメ化作家」となったおかげで、いろいろとお仕事の引き合いも増えていました。
新規レーベルを立ち上げるということで、ぽにきゃんBOOKSの編集さんとお会いしたのもこの頃です。日本一周を終えてからだから8月ですね。
当然、創刊に合わせて新シリーズを――という話だと思い、打ち合わせに出むいたところ、ななな、なんと、「星くず復刊させましょう」というお話。ブログを見ておられたとのこと。
いやー。だめもとで書いてみるものです。
編集さんが言うには、1巻読んでハマり、3巻目でもっとハマり、5巻目でのめりこんだとか。
えー。はい。あのあたりの勢いはものすごいものがありますよね。自分で言うのもなんですが。
じつはいちばん大きな理由は、このブログに書いた記事でした。
「アニメ化作家78人の内訳」
http://araki-contents.sblo.jp/article/52254252.html
こちらの記事の最後のほうに、「シリーズ既刊9冊。既刊の再版+新刊続行という条件で、シリーズまるごと引き受けてくださる場合には、ぜひご一報ください」と書いてあったわけですが。
書いた本人もまさか来ないだろうと思っていたら、なんと、来ちゃいました。
そもそもはGJ部がアニメ化したことも大きかったと思います。
えーと。時系列順に説明します。
去年の中頃ぐらい。
アニメの放映も終わり、中等部の完結までの道筋も確定させて、GJ部というシリーズそのものをそこで終えるという重要な決断を下したあたりで、新木は気持ち的に一段落つけられまして……。
時期的には6月とか7月とかですね。日本一周の旅に出ようとかいうあたりですね。
心機一転、新しいことをはじめたり、あるいは中途で投げ出していたことを再開させたりする心境になっていました。
そこでようやく勇気を振り絞りまして、AMWに「星くずの続きの原稿あるんですけど、これ出ます?」と訊いてみました。返答は予想の通りに「出ません」というものでしたので、それでは、ということで、すべての既刊の出版権の引き上げの手続きに入っておりました。
その頃、新木は「アニメ化作家」となったおかげで、いろいろとお仕事の引き合いも増えていました。
新規レーベルを立ち上げるということで、ぽにきゃんBOOKSの編集さんとお会いしたのもこの頃です。日本一周を終えてからだから8月ですね。
当然、創刊に合わせて新シリーズを――という話だと思い、打ち合わせに出むいたところ、ななな、なんと、「星くず復刊させましょう」というお話。ブログを見ておられたとのこと。
いやー。だめもとで書いてみるものです。
編集さんが言うには、1巻読んでハマり、3巻目でもっとハマり、5巻目でのめりこんだとか。
えー。はい。あのあたりの勢いはものすごいものがありますよね。自分で言うのもなんですが。
posted by 新木伸 at 18:27| Comment(59)
| 星くず英雄伝
2014年02月20日
いかにしてラノベは厚くなったか
そういえば現在では、300ページを超えるラノベは珍しくもなんともないどころか、むしろ300ページは超えていないと物足りないぐらいに思う人が多いはず。
ラノベを厚くしたのは、なにを隠そう「星くず英雄伝」だったりします。
20年ほど前には、「厚いのダメ絶対。売れなくなるから」というのが定説となっていました。
1990年代の前半くらいまでは、ラノベはすべて256ページ近辺でした。
300ページを超えている本は数冊程度。
皆無でこそないものの、それらは新人賞を獲った一冊目で分冊不可でやむなく、とかいう特殊事情がある本でした。
それを覆してみせたのが「星くず英雄伝」です。毎巻300ページをぶっち切っていて、そして売りあげも出して、「絶対売れない」という常識を見事に覆してみせたわけです。
そうしたら「なんだ。厚くても売れるんじゃん」てなことになりまして……。
300ページ超えがだんだんとタブーではなくなってゆきました。
そうして星くずが、細い獣道を作ったところに、川上稔がブルドーザーで乗り付けてきて、片側三車線の高速道路を整備しちゃったわけです。
その川上稔も1996年のデビュー作は300ページを超えていなかったりします。デビュー作のパンツアーポリス1935が、ちょうど星くず英雄伝の1巻と同じ月の発売で、獣道が作られる以前でした。
2000年くらいになると、300ページ超えはだんだんと「普通」になってきました。
現在ではそもそも「厚い」とさえ言われない。
でも300ページが「厚い」「常識外」だった時代もあったわけです。
ラノベを厚くしたのは、なにを隠そう「星くず英雄伝」だったりします。
20年ほど前には、「厚いのダメ絶対。売れなくなるから」というのが定説となっていました。
1990年代の前半くらいまでは、ラノベはすべて256ページ近辺でした。
300ページを超えている本は数冊程度。
皆無でこそないものの、それらは新人賞を獲った一冊目で分冊不可でやむなく、とかいう特殊事情がある本でした。
それを覆してみせたのが「星くず英雄伝」です。毎巻300ページをぶっち切っていて、そして売りあげも出して、「絶対売れない」という常識を見事に覆してみせたわけです。
そうしたら「なんだ。厚くても売れるんじゃん」てなことになりまして……。
300ページ超えがだんだんとタブーではなくなってゆきました。
そうして星くずが、細い獣道を作ったところに、川上稔がブルドーザーで乗り付けてきて、片側三車線の高速道路を整備しちゃったわけです。
その川上稔も1996年のデビュー作は300ページを超えていなかったりします。デビュー作のパンツアーポリス1935が、ちょうど星くず英雄伝の1巻と同じ月の発売で、獣道が作られる以前でした。
2000年くらいになると、300ページ超えはだんだんと「普通」になってきました。
現在ではそもそも「厚い」とさえ言われない。
でも300ページが「厚い」「常識外」だった時代もあったわけです。
posted by 新木伸 at 14:16| Comment(7)
| 星くず英雄伝
2014年02月18日
星くず英雄伝という作品
星くず英雄伝。
中断していたのは13年間ですが、シリーズがスタートしたのは18年前です。
18年ですよ。18年。
ずいぶん昔です。「一世代」といえるくらい。
実際に、当時高校生だった読者の方が、いま35歳くらいになっていて、子供がいたりすることもあるのでしょうから、充分に「一世代」ですね。
そうして世代が回ったことで、いまちょうど、時代の波がやってきています。
「仲間のために必死になれる男の子。失敗しないヒーロー」の物語が再び求められている時代です。
こうして時代が巡るまで雌伏して、復刊の機会を得られたのも、新木が作家を現役で続けてきたおかげだと思っています。
シリーズが中断した当時、新木はメンタル的に壊れかけでした。
艦これ的にいえば「大破」の状態です。
そのまま強行に進軍するか、それとも帰投するかという選択がありました。
そのとき新木は「帰投」を選んだわけです。
もちろん「進軍」するという選択肢もありました。編集者も読者も、皆が口を揃えて「進軍」を選べと言っていました。
「帰ろう。帰れば、また来られる」
――という言葉があります。
艦これをやっている人には有名ですが、某提督の言葉です。
新木の「撤退」という選択が、正しい選択だったのかどうかはわかりません。
予想通りに大破進軍して轟沈していたのかもしれない。奇跡的に轟沈を免れて作家を続けられていたのかもしれない。星くず英雄伝という物語も既に完結を見ていたのかもしれない。(当初の予定と刊行サイクルなら、2006年あたりに20冊弱で完結を迎えていたはず)
18年経ったいま、すくなくとも、ひとつ言えることは――。
「帰ったから、また来れた」ということです。
辞めずに作家を続けてきたから、またこうして続刊の機会を貰うことができました。
中断していたのは13年間ですが、シリーズがスタートしたのは18年前です。
18年ですよ。18年。
ずいぶん昔です。「一世代」といえるくらい。
実際に、当時高校生だった読者の方が、いま35歳くらいになっていて、子供がいたりすることもあるのでしょうから、充分に「一世代」ですね。
そうして世代が回ったことで、いまちょうど、時代の波がやってきています。
「仲間のために必死になれる男の子。失敗しないヒーロー」の物語が再び求められている時代です。
こうして時代が巡るまで雌伏して、復刊の機会を得られたのも、新木が作家を現役で続けてきたおかげだと思っています。
シリーズが中断した当時、新木はメンタル的に壊れかけでした。
艦これ的にいえば「大破」の状態です。
そのまま強行に進軍するか、それとも帰投するかという選択がありました。
そのとき新木は「帰投」を選んだわけです。
もちろん「進軍」するという選択肢もありました。編集者も読者も、皆が口を揃えて「進軍」を選べと言っていました。
「帰ろう。帰れば、また来られる」
――という言葉があります。
艦これをやっている人には有名ですが、某提督の言葉です。
新木の「撤退」という選択が、正しい選択だったのかどうかはわかりません。
予想通りに大破進軍して轟沈していたのかもしれない。奇跡的に轟沈を免れて作家を続けられていたのかもしれない。星くず英雄伝という物語も既に完結を見ていたのかもしれない。(当初の予定と刊行サイクルなら、2006年あたりに20冊弱で完結を迎えていたはず)
18年経ったいま、すくなくとも、ひとつ言えることは――。
「帰ったから、また来れた」ということです。
辞めずに作家を続けてきたから、またこうして続刊の機会を貰うことができました。
posted by 新木伸 at 07:43| Comment(9)
| 星くず英雄伝