2016年06月18日

企画書「光と闇の一年英雄」

●タイトル「光と闇の一年戦争(ワンラウンド・ウォー)」

●コンセプト

  大人たちの知らないバトルがここにある。
  これがゲームであるかどうかは知らない。だが高校生にとっては現実だ。

●概略

 俺たちが光と闇の陣営に別れて「紋章戦」を繰り広げていることを、大人たちは知ることができない。
 放課後の体育館。昼休みの廊下。学内のあらゆる場所で繰り広げられている戦いは、大人たちの目には映らない。そもそも知覚することができないのだ。俺たちの握る剣も、俺たちが身にまとう鎧も、すべて星幽体【アウゴエイデス体】で出来ているからだ。

 毎年4月になると、全生徒の体のどこかに紋章が浮かぶ。紋章の記された職種【ジョブ】に従い、生徒たちは光と闇の陣営に分かれて、1年間限定のアルマゲドンを戦い抜くのだ。
 そして俺の手の甲には、勇者の紋章が(半分だけ)浮かんでいた。


●あらすじ
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 光の陣営の中でも最も上位に位置して、最も特別な存在なのが勇者である。
 その勇者の紋章を、俺はなぜか半分だけ持っている。そして残りのもう半分を持つ女と、今日、出会った。「二人できちんと勇者をやりましょう」と女は言う。紋章戦に参加することを決めかねていた俺だったが、やる気に満ちあふれたその女に片腕をしっかりと捕まえられて、紋章戦のただなかに飛びこんでゆくことになったのだ。
 じつは俺は、自分の紋章がなんなのか、これまでずっと知らずにいた。半分だけの変な紋章を持って、一人で遊撃隊をしていたわけだが、女と出会って、手の甲同士が偶然触れあい、二人とも勇者の姿に変身したことで、この紋章戦における自分の「役」がなんであるのか、はじめて知ったわけだった。
 女は勇者になったことが嬉しくてたまらないようだった。べったりと俺につきまとってくる。昼休みにはクラスを越境して俺のところまで弁当を持ってやってくる始末だ。なんだこれは? 女房気取りか? まあ美人だが。男子生徒の学年人気ナンバーワンの女子だが。しかし。ほんと困る。
 コンビを結成して、「一人遊撃体」が「二人遊撃隊」になるところまでは承知した俺だったが、光の陣営を率いて戦うというのは、これは話が別だ。
 他をあたってくれと言いたいところだが――。しかし、紋章はそれぞれ半分ずつなのだ。俺と女と、二人でなければ、勇者は出現しない。
 女の意気込みと情熱と、そのほか策略やら女の武器の使用やら、諸々――に、ついに根負けして、俺はしぶしぶと仕方なく嫌々ながら、押し切られるかたちで、勇者をやることになったわけだ。
 いや。正直に言おう。
 背中を預けられる相手がいる。信頼に足る腕の女がいる。――いや女は関係ないが。あと美人かどうかは、もっと関係ないが。あいつが作る弁当の中の赤いタコさんウィンナーが絶品かどうかなんてことは、もっと遙かに関係がないが。とにかく背中を合わせて戦う気分を一度知ってしまったなら、もう戻れなかった。ただそれだけのことだ。
 ――女の名前は、由良という。俺は彼女と共に勇者をやることを承諾した。

 この学校の紋章戦は、勇者不在のまま行われていたために、光の側に組織と呼べるものは存在しなかった。少人数のチームが散漫に遊撃戦を行って、魔王側の軍勢を各個撃破で退けているだけである。その中で有名なチームがある。三人の高レベル上級職によるそのチームは、敬意とある種の畏怖を込めて「トリニティ」と呼ばれていた。
 紆余曲折を経て、勇者をやることを承諾した俺は、彼女たちに会いに行った。例によって由良に片腕をしっかりと捕まえられて「トリニティ」の元に出向いたのだが、彼女たちから手酷い拒絶を受けた。
 そりゃそうだろう。彼女たちは勇者不在のなか、つらい戦いをしてきたのだ。数ヶ月も。
「あたしたちが辛かったときには来てくれなかったくせに! いまさらどの面下げて勇者だっていうのよ!」――と、彼女たちの言葉が胸に刺さる。
 俺はあっさりと諦めた。こいつは無理だ。
 ――しかし、由良はまったく諦めなかった。しぶとく粘り強く、どれだけ拒絶を受けても諦めなかった。不死身じゃないかと思えるほどの根気と熱意とを発揮して、しまいには、凍り付いた彼女たちの心を溶かしていった。彼女たちに認められて、俺たちは仲間となった。
 そうして光の側の結束が高まったところで、魔王側の侵略が激しさを増した。これまでのやる気のなさから一転して、次々と戦力を送り込んでくる魔王軍に、俺たちは厳しい戦いを強いられた。
 だが俺の心には一抹の疑問が芽生えていた。それほどの戦力があったなら、なぜ魔王軍はこれまで本気で侵攻してこなかったのか。まるで勇者が現れるタイミングを見計らっているようである。そして俺には、現在続いている侵攻も、俺たちがぎりぎり撃退できる戦力に「加減」されているような気がしてならないのだ。
 そんな疑問を抱えて戦う中、謎に包まれた「魔王」と俺は個人的に出会うことになる。
 魔王の正体は十二歳の高校生だった。飛び級で高校に上がって噂の天才少女。実年齢は中学一年生の傲岸不遜なロリっ子が、我が校の魔王様の正体だった。

 俺は学校内で、あるいは学校外で、たびたび彼女と個人的接触を持つことになる。勇者と魔王の関係であるとはいえ、それは紋章戦のなかでのこと、学校の外では関係ないとあいつは言うのだが、由良にも隠れてこそこそ逢う俺は、なにかイケナイことでもしている気分だ。
 なぜか「魔王さま」は勇者に興味を持っているようだった。勇者に――というか、俺個人に。じつは俺には、由良にも隠している特技が一つある。一度見た技は、たいてい使えるようになるのだ。技を教えてもらっているトリニティたちからは筋が良いと褒められたが、本当のところは、そんなものではない。あくまで俺の感覚的なものだが、「覚える」ではなく「思いだす」というのが近いのだ。かつて使えていた技を、あたかも「思いだす」ような、そんな感覚なのだ。
 そんなことを語る俺に、魔王もまた、自分自身の秘密を打ち明けてくる。彼女は永遠の魔王なのだという。物心ついてから、こちら、彼女は毎年毎年「魔王」(もしくはそれに類する職)に即いてきたのだという。光の側を一挙に攻め滅ぼさないのも、それが理由だった。永遠の倦怠のなかにいる彼女にとって、唯一の「楽しみ」が、光の陣営の「育成」なのだった。
 しかし「勇者」や「魔王」といった最上位職は、一度降ってきたら、二度と降ってはこない。それが皆の知っている常識だ。魔王はこの紋章戦の中において「イレギュラー」な存在なのだった。そして魔王は、俺も「イレギュラー」であるかもしれないという。俺自身は覚えていないが、俺はかつて、勇者(もしくはそれに類する職)をやったことがあるのではないかと……。
 魔王が手加減していることは、魔王軍のなかでは公然の事実だった。それを承服しない過激な一派があった。
 魔王軍の四天王が一人。岩石魔人の異名を取る石頭の武人が、手ぬるい魔王に激怒して、ついに反旗を翻した。魔王はあっさりと拉致監禁。四天王の一人によるクーデターは成功した。
 闇の陣営の内乱は、本来、放っておくべきなのだが――、そうもいかない事情が、光の陣営と俺個人にはあった。
 実権が過激派の手に渡って魔王軍が本気を出したら、俺たちはすぐに滅ぼされてしまう。そのことが、まずひとつめ――光の陣営としての理由。もうひとつは、俺が魔王と個人的に知り合いになってしまっているということである。
 すったもんだの末に、俺たち光の勢力は、なんでか、魔王を救出するために動くことになる。
 魔王軍のなかでも四本指に入る実力者と、手加減なしの本気バトルをするはめになる。四天王はほんとうに強かった。だが俺と由良は一騎打ちの末、なんとかこれを倒した。とどめを刺そうとする寸前、四天王をかばい立てたのは、なんと、魔王だった。
 四天王は感極まって号泣。これまでの謀反を激しく後悔して、永遠の忠誠を魔王に誓った。
 魔王は忠臣ゲットでウマー。俺たちは骨を折って苦労しただけ。すっかり天才少女に踊らされた格好だった。
 俺たちの紋章戦は、これからも続いてゆく。
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posted by 新木伸 at 11:57| Comment(1) | コンテンツ
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Posted by ブランド財布コピー at 2016年12月26日 20:06
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