2016年06月18日

イラストレーターの探しかた(ラノベの場合)

 新木はわりとラノベのパッケージに関わるほうなので、イラストレーターさんを探すこともあります。
 決めるのは編集さんですが、「この人どうっスかー!」と、プッシュすることもあります。そのまま決まることもあります。
(ちなみに普通は探すのも決めるのも編集さんで、作家は選定にタッチさえしないことのほうが多い)

 その探すほうの立場から、探す側が、どのへんを見るのかについての話を、ちらほらと書いてゆきます。

 基本的に選抜作業なので、選ぶ側は、えらい数のイラストレーターさんを見てゆきます。
 すくなくとも数十人とか、百人以上を見て、最終的に、数名のリストを作ります。

 よって、初期段階では、気分的に、「消去法」で落としにかかっています。

 ある点に関して、そこをやっていないと、確実に落ちてしまうという点があります。
 ○○をやっていると、あるいは○○をやっていないと、自動的に除外されてしまうという点が、けっこうあるということです。

 良い絵を描かれていて、お仕事募集中の人が、知っていれば防げた程度のことで、選ばれないということが起きないように、この記事を書きました。

 まず絵を探す場所はPIXIVあるいは個人サイトとなります。
 入口はPIXIVになりますが、プロフ欄に個人サイトがあれば、そっちも当然見に行きます。
 つまりPIXIVをやっていないと、まず見つけてもらう機会がない、という意味です。
 また最初に目に付くきっかけは、ツイッターかもしれません。誰かのリツイートで飛んできた絵に、いいな、と記憶に留めておくのが最初の機会だったりすることも。

 落書きを大量に世に出すことは、大事です。

 チェックしてゆくとき、いちばん最初のステップは、作品内容に合う絵柄かどうかです。
 明るい話。暗い話。重厚な話。コミカルな話。そういう雰囲気に合う絵柄で探します。
 作品を読んだときに受ける「テイク(情動)」と、絵を目にしたときに受ける「テイク(情動)」とが、似ているものを探すことになります。

 これは作風なので対策はないですね。
 イラストレーターさんが、好きで描いている絵と、絵を付ける作品の求める方向性とが、合致することを期待するしかない。
 絵柄については、たくさん並べてもらうことで確認できます。
 得意な絵柄を複数種類持っている人の場合には、取り混ぜておくとよいです。

(余談ですが。新木の場合には、このあたりの最初の条件に「MUST要件」を設定して、「殺しても死ななさそうな生命力のある人物を描ける人」だとか、「セックスの強そうな女(男)の描ける人」とか、妙な、感覚的な要件を付けますが……。まあそういうのも「絵柄」のうちということで)


 絵柄の確認で合致をみたあとは、様々なバリエーションのチェックに移ります。
 このへんはバリバリに消去法です。

 ラノベの場合は「キャラデザイン」も仕事のうちです。
 まったくの「無」の状態から、一から完全にデザインを起こします。
 よって、キャラデザイン力は、かなり重要です。
 強気、弱気、優しい、きつい、様々な性格の女の子(人物)がデザインできているかを見ます。

 キャラデザインは「オリジナルキャラ」のみで確認します。
 つまり、この時点で、「版権絵だけ」しか展示していない人は、どれだけ上手くとも、自動的に除外されてしまうということです。

 「版権絵を作る」のがお仕事なわけです。
 他の人が作った「キャラデザイン」を上手に模倣する能力がいくらあっても、役には立ちません。
 版権絵がたくさんあっても、べつにマイナスにはなりませんが――。
 「キャラデザイン力」を見るプラスには、まったくならないということです。

 女の子の可愛いのはもちろんのこと、全身や手足まで描いているかは重要なポイント。
 女の子だけ。全身を描かずに顔だけとか、バストアップだけ。――では、早々に除外されます。

 服装の種類。表情の豊かさ。などもチェックポイント。

 喜怒哀楽すべて描けるか?
 無表情クール顔しか描かない人がけっこう多いですが、作品によっては、この時点で除外されてしまいます。
 ぶっちゃけ澄まし顔って、誰でも描けるんです。
 喜怒哀楽を描ける人のほうが上位互換なので、無表情クール顔向けの作品でも、当然、選ばれます。そっちのがお得です。

 服装は、現代ものなら、ちゃんと最近のファッションを見て勉強しているか。
 ファンタジーなら、セオリーを見て勉強しているか。
 絵を見て絵を描いているか、絵以外のものを見て絵を描いているかは、すぐにわかります。

 背景が描けるか(街並み教室、私室など)。
 小物は描けるか(剣鎧銃、物体など)。
 女の子以外の人物(男、大人、子供、爺婆)。
 人間以外(動物。モンスター)など。

 ファンタジー小説なら、剣盾鎧マジックアイテム、背景(野外、街並)ぐらいは必須能力です。
 そうした要素のある絵が、一枚もなければ、まず絶対に選ばれることはありません。

 あとは、絵の内容以外のところでは――。
 更新具合(定期的に絵を描かれているか)、成長度合い(過去絵からの進歩)なども見ます。
 手の早さ(重要)。
 現状で完成されているのか(かわりに伸びしろがもうない)。いまは荒いが一皮剥けると化けるのか。

 これを確認するためには、過去絵から現在までの一定量の展示が必要です。
 下手な絵と上手な絵の混在が必要です。

 じつはたくさん描いてるんだよ! どんどん変わってきてるんだよ! ――と、そこが「強み」の人は、上手く描けた絵だけを厳選して載せるのではなく、落書きも含めて、描いた絵をすべて載せておいたほうがいいです。
 見に来た側の意識としては「載せてある絵」しか描いていないと思うのが普通です。

 それから絵とは、まったく関係ないのですが、人柄なども。
 普段ツイッターでどのようなことをつぶやかれているか。ビジネスパートナーとして一緒に仕事ができるか。ヤバくない人間性か。近寄らないほうがいいオーラをだしてないか。

 以上。
 僭越ながら、「選ぶ側の意識」というものを解説させていただきました。
 ラノベのお仕事を希望される方の、なんらかの参考になれば幸いです。

 そのうち一緒にお仕事できるとよいですー。
 新木作品からのオファーがいきました折には、よろしくですー。m(_ _)m
posted by 新木伸 at 11:38| Comment(0) | コンテンツ
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