そういえば現在では、300ページを超えるラノベは珍しくもなんともないどころか、むしろ300ページは超えていないと物足りないぐらいに思う人が多いはず。
ラノベを厚くしたのは、なにを隠そう「星くず英雄伝」だったりします。
20年ほど前には、「厚いのダメ絶対。売れなくなるから」というのが定説となっていました。
1990年代の前半くらいまでは、ラノベはすべて256ページ近辺でした。
300ページを超えている本は数冊程度。
皆無でこそないものの、それらは新人賞を獲った一冊目で分冊不可でやむなく、とかいう特殊事情がある本でした。
それを覆してみせたのが「星くず英雄伝」です。毎巻300ページをぶっち切っていて、そして売りあげも出して、「絶対売れない」という常識を見事に覆してみせたわけです。
そうしたら「なんだ。厚くても売れるんじゃん」てなことになりまして……。
300ページ超えがだんだんとタブーではなくなってゆきました。
そうして星くずが、細い獣道を作ったところに、川上稔がブルドーザーで乗り付けてきて、片側三車線の高速道路を整備しちゃったわけです。
その川上稔も1996年のデビュー作は300ページを超えていなかったりします。デビュー作のパンツアーポリス1935が、ちょうど星くず英雄伝の1巻と同じ月の発売で、獣道が作られる以前でした。
2000年くらいになると、300ページ超えはだんだんと「普通」になってきました。
現在ではそもそも「厚い」とさえ言われない。
でも300ページが「厚い」「常識外」だった時代もあったわけです。
2014年02月20日
いかにしてラノベは厚くなったか
posted by 新木伸 at 14:16| Comment(7)
| 星くず英雄伝